ミロ
「美味いが、これだけじゃ足りねえ」
凪咲
「それじゃあもう一口──きゃっ!?」
ぐるりと体勢が入れ替わる。ミロの膝に乗せられるような形だ。
ミロ
「今度は俺が食わせてやる。ほら口開けろ」
凪咲
「う、うん……」
みんなが見ている中で食べさせられるのが気恥ずかしくて、おずおずと口を開ける。
すぐさま口にスプーンが差し込まれた。
凪咲
「……あ、美味しい」
果物の自然な甘さが口に広がり、思わず声が出た。ミロは機嫌を良くしたのか次々に私の口にパフェを入れようとしてくる。
ミロ
「美味いか?もっと食えよ」
凪咲
「ありがとう。でもこんなには食べられないよ」
こちらの世界のパフェは獣人仕様で到底1人では食べきれないサイズだ。
ましてやこんなハイペースではなおさらだ。
ミロ
「だったら別のものは食うか? 何がいい? お前は何が好きなんだ?」
ミロの大きな手が、私の髪を撫でた。反対側の手は私の体を支えており、力強さが伝わってくる。
凪咲
(最初は怖い人かと思ってたけど……。子供っぽいところがあって、ちょっと猫みたいで……でもやっぱり男の人なんだな)
胸のあたりが温かくなって、彼の顔を見つめる。
ミロも私を見つめ返しながらゆっくりと瞬きをした。