エリヤ
「凪咲の手は綺麗だなあ」
歯の浮くようなセリフに、思わず照れ隠しで睨んでしまう。
けれど、彼は冗談のつもりじゃなかったらしく。
エリヤ
「本当に綺麗だよ」
ふっと微笑んで伝えてくる。
そんな顔をされると、ますます頬が熱くなってしまう。

そうしてエリヤがいよいよ、刷毛をボトルに浸した。
エリヤ
「失敗できねーの、緊張する~」
私の爪に、刷毛で黒が塗られていく。
凪咲
(緊張するのはこっちだよ……!)
指先まで伝わってしまうのではと思うくらい、鼓動が高鳴ってしまっている。
震えてしまいそうになるのを必死に耐えた。