「全国の姫、待ってたぜ! ここは姫と俺との馴れ初めについて説明――」

「違う。ここは【玉依姫】と【守護者】について説明するコーナーだ」

 

「なんだよ、響。邪魔するなよ! 俺と姫のメモリーに響は入ってないんだからな!」  

「そのおしゃべりな口をさっさと閉じろ。耳障りだ」

 

「ひでぇ。俺たち親友だろ!?」

(……キラッ)

「地獄を見るか?」

 

「……ごめんなさい」

「俺は気が長いほうじゃない。さっさと説明しろ」

 

「お、おう!
えーっと、玉依姫は【カミと対話することができる女性】のことを言うんだ」

「間違ってはいないが、説明が大雑把過ぎるだろう。
狗谷、なぜ玉依姫は【カミ】と対話する必要があるんだ?」

 

「そう言われてみると、なんでだろう?  
そうだな、姫が神の力を使うときお願いするために必要とか……
わかった! あと、カッコいいからだろ!?」  

「後者の意見はともかく。 ……意外にまともなことを言ったな」

 

「響、ひでぇ……」

「本当のことだろう、話を戻すぞ。
   玉依姫はカミの力を行使するとき、カミと対話が必要になる。
   カミに伝わる言葉で話しかける必要が出てくる。
   それができる者が【玉依姫】と呼ばれるんだ」

 

「すげえ!  めちゃくちゃわかりやすかった。
響、おまえって先生とか似合いそうだよな! メガネしてるし、なんか知的っぽい」

「俺もイメチェンしてメガネをかけようかな。なあ、響。おまえはどう思う?」

 

「メガネをかけたからといって知的になるわけがないだろ。先生というのも却下だ。
おまえのようにできの悪い生徒の面倒を見るのはゴメンだ」

「ガーン!!」

 

「【玉依姫】の説明は以上だ。次の【守護者】の説明だが――」

「ストーーップ!!  【玉依姫】は響が説明したんだから、【守護者】は俺が説明するぜ!」

 

「……好きにしろ」

「おう!  【守護者】は姫を護る正義のヒーローのことを指すんだ。
俺1人でも姫を護れるんだけど、設定上しかたなく
俺を含めて6人のヒーローがいるんだぜ」

(ピキッ)

 

「…………」

「姫は世界を支配しようとしてる組織に狙われてるんだ。
   組織の名は【アクトウマンサイ】に親玉は【アクノオヤダーマ】名前からして凶悪そうだよな!
   手下に【ショッカーン】がいて、そいつらを俺がバッタバッタと――」

(ピキッ)

 

「いい加減にしろ。
【アクノオヤダーマ】なんて組織も【ショッカーン】なんて手下も存在しない。
……いいか、狗谷。おまえは何もしゃべるな。しゃべったら速攻沈める」

「(こくこくこく)」

 

「【守護者】とは、【玉依姫】を護る6人の少年のことを指す。
みんな異質の力を持っていて、力の強さは【玉依姫】との絆により左右される。
これが正しい【守護者】の説明だ」

「うんうん。 やっぱり俺たちは正義のヒーローだな!
姫を護る従者が俺1人じゃないのは残念だけど、
みんな大事な仲間で親友だ。な、響?」

 

「幸せな脳内だな」

「響は幸せじゃないのか?
   姫のそばにいられるのに幸せじゃないなんて、あり得ないって!」

「くだらん。説明はしたんだ。俺は帰る」

「だ、駄目だって響!  まだ全国の姫に俺たちの思いを伝えてないだろ!?」

「……ふう。
少しは成長しているとは思うが、面倒くさいことに俺を巻き込もうとするな。
壁にぶち当たったからといって俺に頼るな」

「……だが、本当に困ったことがあったら俺を頼れ。少しは力になってやろう。以上だ」

 

「俺はじゃんじゃん巻き込んでくれて構わないぜ!
姫の願いは何でも叶えてあげたいし、姫に頼られるのが俺の1番の幸せなんだ。
どんな時も姫のことを護るから、いつでも頼ってくれよ!」



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