- 珠紀
- 「……あ……手……」
- 拓磨
- 「コ、コツを教えてやるんだから仕方ないだろ」
- 珠紀
- 「……う、うん……そうだよね……」
そう、手を触れられるのもこの密着も金魚すくいのためで……。
でもでも、着物越しに拓磨の体を感じるんですけど……。
- 拓磨
- 「いいか。まずポイには表と裏がある。表で取るのが基本だ」
拓磨の声が耳元から聞こえる。
- 拓磨
- 「それで、金魚は追いかけない。ひたすら待つ」
気のせいかな。背中に伝わってくる拓磨の鼓動がちょっと早いような……。
- 拓磨
- 「来たぞ! 今だ!」
- 珠紀
- 「え、え、え!? 今!?」