口から悲鳴が上がろうとした瞬間、その口もふさがれた。
体を持ち上げられ、正面を向かされる。
男の子。その人は、私と同じくらいの歳に見えた。
彼は私の耳元に顔を寄せてささやく。
恥ずかしいとか、何を突然馴れ馴れしいとか、そういう、普通ならまず考えるであろうことでさえ頭に浮かばなかった。
何が起こってるのか、全然わからない。
玉依、その言葉に、一瞬、思考が停止する。
心臓が大きく脈打った気がした。
どこかで聞いた言葉だろうか、そんなふうに思った。