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――一人目。
『ギル・ラヴクラフト』
ヒロイン
「ギル・ラヴクラフトさんですね。
改めまして、これからよろしくお願い――」
ギル・ラヴクラフト
「会えて嬉しいよ!」
私の言葉を遮って、彼が私の手をギュッと握る。

懐かしい、その笑顔。
一緒に暮らしていた時から随分と印象は変わっているから自信なかったけれど――。
ヒロイン
「あなた、やっぱりあのギルなのね!?」
ギル・ラヴクラフト。
人間界に来て右も左も分からない私の面倒を見てくれていたルームメイトが目の前にいた。

因みに、彼もロサンヨーク大学の学生だった。
大学時代はクラリスとギルと三人で良く遊んだものだ。
ギル・ラヴクラフト
「あははは、久しぶり。
まさかこんな所で再会するだなんて思わなかったな」
ヒロイン
「私もよ。
ギル、随分と雰囲気が変わったのね。
ファッションも今の感じとっても素敵よ」
ギル・ラヴクラフト
「あ、ありがと……。
君に褒められるのが、一番嬉しいよ」
ヒロイン
「ふふっ、その大げさな所も変わってないわね。
どう、元気にしてた?」
ギル・ラヴクラフト
「もちろんだよ。
……実は、あれから何度も君に連絡を取ろうと思ったんだけれど、勇気が出なくてさ……」
ヒロイン
「あら、どうして?
気軽に連絡してくれたら良かったのに」
ギル・ラヴクラフト
「いや、その……気まずいというか――、
なんというか――俺が変わらないと意味ないだろうしって思っちゃって……」
ギル・ラヴクラフト
「もう少し自信が持てるようになってから、とか色々自分に言い訳しちゃってさ。
それで、ズルズルと2年も経っちゃって……」
ギル・ラヴクラフト
「はは、でもますます綺麗になってて驚いたよ。えっと、彼氏とか……いるの?」
ヒロイン
「彼氏?
ううん、いないけれど」
ギル・ラヴクラフト
「そ、そっか……そっか…………」
ヒロイン
「ギルのほうは――ってごめんなさい。
ここにいるんだものね、愚問だったわ。
さっ、面談始めましょ!」
ギル・ラヴクラフト
「えっ、面談?」
ヒロイン
「あら、ギルは結婚相手を見つける為にうちの会員になったんでしょ?」
ギル・ラヴクラフト
「あ、あー、そ、そうだったよね。
うん、そうなんだけど、君に会えたらそんな気持ちも吹き飛んだというか……」