- ピーター・フラージュ
- 「あむ……はぐ……っ。ん、うまい……!! うまいぞ!!」
- ヒロイン
- 「ん。このドリンクも美味しい……! はあ、あったまる~……」
- ピーター・フラージュ
- 「もぐもぐもぐもぐ……ん~これは、絶品だ……! これは、何という食べ物なのだ!?」
- ヒロイン
- 「えーっと、それは……チューリンガー・ブラート・ヴルスト……っていう料理みたい」
- ピーター・フラージュ
- 「なるほど! あむ……もぐもぐ……うむ、うまいぞ……! お前も食べてみてくれ!」
- ヒロイン
- 「ふふっ。じゃあ一口ちょうだい?」
- ピーター・フラージュ
- 「……! あ、ああ……」
- どれもこれも食べたくて、私たちは、ひとつずつしか買っていなかった。
だから二人でシェアしながら色々と食べていく。
- ヒロイン
- 「ん、美味しい……」
- ピーター・フラージュ
- 「……だ、だろう。うむ。すごく、美味しい。はっ、こちらも美味しそうだぞ!」
- テーブルに置いたお皿からじゃがいもの料理――カルトッフェルブッファーを食べて、ジュピターがまた目を輝かせる。
頬をいっぱいにしてもぐもぐと食べるのに忙しくしている姿は、神界にいる時とは似ても似つかない。
完全にリラックスしきっていて、そして、私にとっては懐かしい笑顔がそこにはあった。
留学時、私が一緒に過ごしていたインターン生の『ピーター』そのものだ。
ジュピターとの差が大きくて、余計に普段は緊張してたと伝わってくる。
- ヒロイン
- (主神、なんだもんね……)
- 神界を統べる主神として。
主神にふさわしく。
他の神々に失望されないように、兄よりも立派にと――。
彼はずっと、一人で気負ってきた。
だからこそ、人間界にいる今は、好きに過ごして貰いたいなと思った。
何より今は、ハネムーン。
新婚旅行中だ。
- ピーター・フラージュ
- 「んむ……。このキンダープンシュ、という飲み物も美味しいな……!!」
- ヒロイン
- 「ふふっ。この甘いシュークリームみたいなのもすっごく美味しい!」
- 料理を食べて、珍しいドリンクを飲んで。
私たちは一緒に、雪の降る空を見上げる。
寒いけれど、温かい格好になったし、グリューワインも飲んで体の中からぽかぽかだ。
初めての、クリスマスマーケットの時間は楽しく過ぎていった。