- ――彼女にプロポーズをして、20歳になったあの日。
僕は初めて、男として彼女に触れた。
正直、夢中だったから自分がちゃんと出来てたか覚えていない。
- 螢彩院・F・琉輝
- (だから、次は……ちゃんとしたいって思ってたのに)
- 葛藤しながらも、もう止められそうになかった。
悔しいから。可愛いから。
――彼女に男だって、意識されたかったから。
- 螢彩院・F・琉輝
- 「――いい?」
- 僕の言葉に、ようやく彼女が困ったような、恥ずかしそうな顔をした。
- ヒロイン
- 「あの、琉輝……。いいんだけど、でも――」
- 螢彩院・F・琉輝
- 「いいなら、いいでしょ」
- ヒロイン
- 「っ……!」
- 彼女の反論を封じるキスをして、髪を解いていく。
シーツに広がった髪からは、僕があげたトリートメントの匂いがした。
旅行に向けて僕が用意しておいた、ミニボトルの、シャンプー&トリートメント。
- 螢彩院・F・琉輝
- (アメニティのじゃなくて、 ちゃんと僕があげたのを使ってくれたんだ)
- 美容の為だけに渡したはずだったのに、香りに女性らしさを感じて鼓動が早くなっていく。
- ヒロイン
- 「ま、待って、琉輝……」
- 螢彩院・F・琉輝
- 「駄目。20歳になったらもう遠慮はしないって言ったでしょ」
- 螢彩院・F・琉輝
- 「……あんたは、じっとしてて」
- そう言わないと自分の方が翻弄されそうで。
彼女の首筋にキスを落としながら僕は理性を総動員させる。
- ヒロイン
- 「琉輝……わ、私――」
- 螢彩院・F・琉輝
- (っ……、どうしてそんな可愛い顔するんだよ。反則じゃないか)
- 赤く染まった頬も、小さな唇から漏れる声も、全部可愛くてたまらない。
自分に、こんな衝動があったなんて知らなかった。
でも一度知ってしまったから、もう知る前には戻れない。
- 螢彩院・F・琉輝
- 「いいから、今夜は任せて」
- 余裕ぶって発した言葉は、いとも簡単に彼女の潤んだ瞳の甘さに吸収され、意味を成さなくなってしまう。
今夜も、間違いなく、彼女に溺れてしまうような予感がしていたのだった。