- サン
- 「こんばんは、美しいお嬢さん。
こんな夜更けに、どうされたのですか?」
不意に、背後から声をかけられた。
驚き振り向けば、いつの間にか、
窓際にひとりの男性が立っている。
物静かな雰囲気をまとった、中性的な容姿。
月影は肌を青白く輝かせ、瞳に光を投げかける。
窓の外、街の灯りを背景に
その人はとても美しく見えた。
- カルディア
- 「あなたは? それに、いつの間に……」
- サン
- 「おや、驚かせてしまいましたか。
ふふふ、申し訳ありません。どうにも影の薄い性質でして」
- サン
- 「あなたが、新しい住人ですね。話はルパンから聞いています」
- サン
- 「私の名はサン=ジェルマン。
フランスにて伯爵の位を授かるもの」
- サン
- 「ですが……
今では、この屋敷の酔狂な主、という立場です。
ようこそ、歓迎しますよ。カルディアさん?」