背後から抱きしめられて伝わる、
彼の熱と鼓動。
でも。
耳元に触れた彼の吐息は、
甘いというよりどこか苦しげで。
私は照れるよりも先に、
戸惑いの声を漏らしてしまっていた。
- カルディア
- 「ど、どうしたの……突然?」
- サン
- 「…………」
- サン
- 「…………毒が」
- カルディア
- 「え?」
- サン
- 「……もしもこのまま、毒が消えなかったとしたら、あなたはどうしますか?」
- カルディア
- 「どうするって言われても……」
- カルディア
- 「そうならないために、私達はこうして各地を、回っているんでしょう?」
- サン
- 「……そう、ですね。ええ、その通りです」
- サン
- 「オムニブスに提示された条件は、ホロロギウムを無効化すること」
- サン
- 「当然、毒に対応できなければ、その先どうするも何もない……」
無意味な仮定だとわかっていても、
聞かずにはいられないのだ、と。
私を強く抱きしめる彼の腕が、
そう語っている。