- サン
- 「恋人の許可なく離れようとするなんて、
なんて意地悪な子だ」
- サン
- 「ふふ……
これはお仕置きが必要ですね?」
腰に添えられた手が、
ぐいっと私の体を引き寄せる。
- カルディア
- 「ち、ちょっと待っ……」
- サン
- 「駄目です。
美しい風景に見惚れるあなたも、愛らしいですが……」
- サン
- 「どうせなら他の何よりも、私に見惚れてほしいですから」
絡められた手から。
触れ合う胸板から。
服越しでもはっきりと伝わる、
サンの体温。
まるでダンスに誘うかのように、
サンは私を抱きすくめていた。
- カルディア
- 「さ、サン! 離して……!」
- カルディア
- 「こんな、恥ずかしい……っ」
- サン
- 「いえいえ。
恥ずかしいなんてことは、これっぽっちもありませんよ」
- サン
- 「私の愛する女性は、
道行くパリジェンヌの誰よりも、美しく愛らしいですから」