- フラン
- 「怖がらないで。大丈夫だから」
私の躊躇を察してくれたのか。
フランは静かに自分の手袋を脱ぎ去りつつ、
私の手を優しく引き寄せてみせた。
それから、
そっと彼の滑らかな頬へと導かれる。
肉が焼ける音も匂いもなく。
命を奪う恐ろしい感触もなく。
伝わってくるのはただただ、
愛しい人の温もりだけ……。
- フラン
- 「……ね? なんともないでしょ。
むしろあったかくて、気持ちがいい」
- カルディア
- 「……うん。すごく、ほっとする」
触れられるようになってから、
まだ日は浅い。
だけど彼は素手が落ち着かない私を、
安心させるように……。
事あるごとにこうして、
私に温もりを教えてくれていた。