- ルパン
- 「【――拝啓、カルディア殿。
近いうちにあなたの笑顔を頂きます。泥棒紳士アルセーヌ・ルパン】」
- ルパン
- 「よし……! これで後は情報収集して、 侵入経路、退路の確保――」
- ルパン
- 「――って、違う! これじゃあただの予告状じゃねえか!」
普段のノリで書いてしまったものを、
丸めてくず籠に放り投げる。
頭を掻きながら、
俺はまた便箋と睨み合った。
今までだって頻度は多くないにせよ、
ウェールズと手紙のやり取りはしてきた。
なのに今日に限ってどうにも、
上手い言葉が紡ぎ出せない。
- ルパン
- 「くそっ……全然浮かんでこねえ。普通の手紙がこんな難しいとは……」
予告状ならそれこそすらすらと、
思いつくままを書けばいいのに……。
いざ身構えて書こうとすると、
どうしてもペン先が鈍ってしまう。
- ルパン
- 「……しかめ面してても仕方ねえよな。とにかく何か書きながら考えねえと」
となると、書くことは――。