秋月さんがしゃがんで、私へ背中を向ける。
お互いの身のためにも、急いだほうがいい。
そう理解して、秋月さんの言葉に甘えることにした。
気の遣い方が大げさでちょっと笑ってしまう。
今日は秋月さんも、
体に想定外の負荷がかかったはずだ。
でも、私を背負って歩く足取りは
思いのほかしっかりとしている。
身を預けた背中の広さは、
これまでの印象以上に頼もしい。
二の腕に赤く血が滲んでいる。
慌てて手ぬぐいを巻きつけて、きつく結んだ。
秋月さんはからっと笑う。
秋月さんが笑うと、
心配ごともたちまち軽くなっていくようだった。