弾丸は急所を狙い通りに貫いて、
確実に命を奪った。
脚が震え、身体を支えられずにへたりこんだ。
もう一度立とうと思うのに
体に力を入れる方法を忘れてしまったみたいだった。
ここでじっとしていたら狙い撃ちの的だ。
立ち上がらないと。
焦るとますます
身体の動かし方が分からなくなってしまう。
名を呼ぶ声に意識を引かれる。
すぐに私の頭に、
そっと触れるものがあった。
神崎さんの手のひらが一瞬、私の頭に重なって
すぐに離れていく。
神崎さんの声に
にわかに力を取り戻す。
親切に支え起こしてくれることはない。
でも、言葉だけで十分だった。
私がもう一度立ちあがった頃には
神崎さんの背中はもう遠ざかっている。