砂埃にまみれた顔には
誰のものか、血の汚れもついている。
大きな傷は負っていないから、ほっとして力が抜けた。
ふと、三郎の手から震えが伝わってきた。
懇願する声に、胸の奥がぎゅっと締めつけられる。
――そうなのかもしれない。
でも、私は白虎様に力をもらった。
兄上の銃でずっと稽古してきた。
この力があれば、戦うことができる。
そう信じてここまできた。
銃を持たずに突撃した藩兵は
銃弾の雨に身を晒して倒れていった。