風が吹いて木々がそよぎ、
木漏れ日がちらつく。
髪がなびいて、少年はふと木を見上げて微笑んだ。
背筋がぴんと伸びている様子から、
きっと日新館での勉強に
日々真面目に打ち込んでいるんだろうなと窺えた。
つい目を奪われていると――
少年と目が合った。
ぺこりと会釈をしあう。
もしかして――という予感が膨らんでいく。
先に口を開いたのは彼のほうだった。
あまりに無遠慮に見つめてしまったことに
今さらながらに気づいて焦る。
つい、思ったままのことを伝えてしまう。
すると、石谷君は朗らかに微笑んだ。
箒を握り直して姿勢を正す。