ジャック
「!?」
ルナ
「それで、そのお姫様はりんごを……」
ページをめくりながら、
ゆっくりと本を読んでいく。

ふと、ジャックの反応が
なくなっていることに気がついた。

少し前までうんうんと頷く気配があった。
一体どうしたのだろう。
気になって顔を上げてみる。と――。
ジャック
「……っ……」
ルナ
「え……?」
いつの間にか、ジャックの膝にカルミアが座っていた。
ルナ
「……っ、ふふ……っ」
ジャック
「ル、ルナ様……」
親子みたいな二人の姿につい笑ってしまうと、
ジャックが困りきった視線を私に向けた。
ジャック
「あ、あの……じょ、女王様……助けてください……」
ルナ
「いいじゃない。似合ってるわよ」
ジャック
「っ!?えと、で、ですが……」
カルミア
「それで? お姫様はどうなったの?」
ルナ
「ふふっ、そうだったわね。じゃあ続きを読みましょうか……」
ジャック
「うう……カルミア、くん……」
カルミア
「ん?」
ジャック
「……な、なんでも、ないです……」
カルミアのまっすぐな視線に負け、
ジャックがしゅんと大人しくなってしまう。

体は大きいのに、カルミアに敵わない。
そんなジャックのことが、
なんだかおかしかった。