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- ルナ
- 「……その……紅茶は、後でいいわ。それより……」
- ジャック
- 「それより……?」
- ルナ
- 「…………傍に、いて……?」
- ジャック
- 「……っ!」
- うつむきながら小さくつぶやくと、息を呑む声が聞こえた。
- ジャック
- 「な……」
- 口元を手の甲で覆って、よろよろとジャックが後ずさる。
――直後、視界が真っ黒に染まった。
- ルナ
- (え?)
- ジャック
- 「ルナ様……っ」
- 耳元で聞こえた声に、抱きしめられたのだとようやく気づいた。
ぎゅう、と強くジャックが私を抱きしめる。
すん、と息を吸えば懐かしい香りが胸をいっぱいに満たした。
ずっと欲しかったもの。
ずっと触れたかった人。
大好きな、ジャックの腕の中。
- ルナ
- (あったかい……)
- 強く、でもどこか遠慮がちに私に触れる、戸惑うようなジャックの指先。
嬉しくて思わず胸に頬を擦り寄せると、ジャックの肩がびくりと震えた。
- ジャック
- 「ルナ様……お願いですから……、私を、煽らないでください……本当は……我慢しているんですから……」
- ルナ
- 「……我慢……?」
- ジャック
- 「はい。そうしないと……」
- ジャックが、ぎゅう……と私を抱きしめる腕の力を強くする。
私が苦しくならないように控えめに、でも想いが溢れてくるような強さでジャックが私を抱きしめる。
- ジャック
- 「本当は……もっと、もっとあなたに触れたいんです。触れて、抱きしめて、キスもしたい……」
- ジャック
- 「でも、そう考え出すと他に、何もできなくなってしまうんです……」