倒れ込んだときに衝撃があったのは事実だが、
それらがどこかへ吹き飛んでしまうくらい
今の私は動転していた。
それだけではなく、顔が熱くてたまらない。
暗闇にまぎれているおかげでお兄さまには
わからないかもしれないが、間違いなく
赤くなっているはずだ。
身体を離したお兄さまが先に立ちあがり、
手を借りて上体を起こす。
私が体重をかけてしまってもびくともせず、
お兄さまは力強く、しっかりと支えてくれた。
不意に、抱きしめられたときの感触がよみがえる。