ユーリア
「なにか、心配事があるのよね?」
リシャルト
「え……?」
ユーリア
「今までは、あなたがなにを考えているのか、
想像することしかできなかったけれど……」
ユーリア
「今はこうして人の言葉で話ができるようになったんだし、
よかったら聞かせて欲しいんだけど」
リシャルト
「……たとえ意思疎通ができるようになったとしても、話せないことはある」
ユーリア
「っ……リシャルト……」
ユーリア
「そ、そうよね。ごめんなさい、立ち入ったことを聞いてしまって」
リシャルト
「違う、お前に話したくないわけじゃない。……巻き込みたくないだけだ」
ユーリア
「え……?」
リシャルト
「悪く思わないでくれ。あのとき、
たまたま外出を許可されていたお前が馬小屋に立ち寄っていなければ、
俺はとっくに処分されていたのに」
リシャルト
「俺はお前に、なにも打ち明けられそうにない」
ユーリア
「リシャルト……」