Story

第二夜 アジアン・ナイト

鱗帝国の皇太子――“鱗 皇驪”
鱗帝国の太子――“鱗 希驪”

広大な領土を有する鱗帝国の跡継ぎの二人は、腹違いの兄弟だった。
皇太子・皇驪は穏やかで人徳が厚く、その弟・希驪は誰とでも親しくなれる気安さがあった。
二人は皇太子の妃候補と共に、『世界次世代指導者会議』へ出席すべくシャナーサ王国へやってくる。

――会議開始前日の昼。
たまたま訪れたシャナーサ王国の市場で、
皇驪は愛読書『白蛇伝』の主人公”白娘子”を象ったかのような女性と出会ってしまう。

「そなたは、白娘子! ようやく会えた。私の運命の人――」
――その日の夜。

運命的な出会いにより骨抜きになってしまった兄が
会議で失態を犯すのではと心配した弟・希驪は、単身『白娘子』を探しに行く。
たどり着いたのは、《ショーサロン・カマル》
店主に声をかけられ、あれよあれよのうちに“舞妖妃”に依頼をすることに。

「……こう兄のことを誘惑して、その後手酷くフッてやってよ。
あの『白娘子』信者に、現実を見せてやりたいんだ。
純愛なんてこの世にはないんだっていう現実を、ね」

女の愛し方が奇異なターゲットと、女の愛し方が軽薄なクライアントとのアジアン・トライアングル

寵愛の遊戯に耽けるのは誰か――