キャラ投票結果シナリオ
「真夏ノ海岸ニテ」



//シーン:食堂

勇 「おい、何か冷たい物を持って来い」
はる 「はい、只今!」
雅 「僕の所に「一番」に持って来て。冷たい珈琲。砂糖多め牛乳少なめ」
はる 「畏まりました!」
正 「私の所に茶がないぞ!さっさと持ってこんか!」
はる 「少々お待ち下さいませ!」

//歩き去る
//ドア開閉


雅 「……ねぇ」

//新聞を拡げる

正 「何だ」
雅 「あいつ、何なの?」
正 「使用人だな」
雅 「そういう事を聞いているんじゃなくて!」
勇 「では雅は何だと答えて欲しいのだ?」
雅 「もー、だから!最初はゴミとか虫と同じ使用人だと思っていたけどさ、何か……」
正 「つまり、今まで雇った使用人と違う、とでも言いたいのか?」
雅 「違うって言うかさ、なんかすごく田舎臭くない?」
勇 「使用人であれば仕方あるまい」
雅 「はぁ……勇とは会話にならないから嫌いだよ」
勇 「ふん、貴様になど好かれたくもないが」

//ぼそぼそ

雅 「……また呪い殺す人が増えたみたいだね」

//のど元に手をやって、新聞おりたたみ置く

正 「『今年は過去最高気温を記録』、か。どうりで暑いはずだ。……何処か涼しい所にでも行くか」
勇 「それはよいが……正、仕事はどうした」
正 「休みにした。最近日曜も働いていたので、たまには休みを取ろうと思ってな」
勇 「帝國の為に一日でも多く働くべきだと俺は思うが?」
雅 「じゃあどうして勇は休みなのさ?帝國陸軍の軍人でしょ?」
勇 「……俺もたまには休もうかと思ってな」
雅 「何それ、馬鹿じゃないの?」
勇 「貴様……またそれを言うか?」
雅 「ああ、言うね、何度でも繰り返し言ってやるよ!馬鹿馬鹿ばーか、帝國陸軍の軍人ばーか!」

//席を立ち上がる
//剣を抜く


勇 「き、斬り捨ててやるっ!!」
正 「大佐、やめろ。余計暑くなる」
勇 「ちっ……」

//席に座る
//剣仕舞う

//ドア開閉、はる室内に入る


雅 「くすくす……やっぱり馬鹿だね」
はる 「お待たせ致しました。えっと……冷たい珈琲は、正様……」
雅 「はぁ? 殺されたいの?」
はる 「申し訳御座いません!雅様でしたね!……はい、どうぞ」
雅 「お前ってほんっとーに使えないね。田舎臭いし嫌になるよ!」
はる 「申し訳ありません……正様、どうぞ」
正 「使えぬ使用人は我が宮ノ杜家には必要ないぞ」
はる 「……お待たせしました勇様」
勇 「生きている価値もない、か」
はる 「…………」
雅 「用が済んだらさっさと戻れ!」
はる 「失礼致します……」

//歩き去る
//ドア開閉


雅 「何あれ?」
勇 「ふむ……夏は冷たい茶に限るな」
正 「暑い時こそ熱い飲み物だ。昔からそう決まっている」
雅 「はぁ……どーでもいいけどさ!で、何処に行くの!?お前達休みなんでしょ!?」
正 「そういう雅はいいのか、学校の方は」
雅 「僕も休み。自主的にね」
正 「やれやれ……またか」
勇 「ふむ……では俺が行き先を決めてやろう」
正 「こういう場合、仕切るのは長男だと思うが?」
勇 「俺は次期当主、貴様はただの長男だろうが」
正 「なっ、何だと!?」
雅 「もーいいから!暑いんだけど!!さっさとしてよね!」
正 「全く……それで、何処に行く気だ?」
勇 「……俺によい案がある」

//シーン:車の中

雅 「行き先は?」

//運転している

勇 「ふん、楽しみにしておけ」
正 「まさか……やす田じゃないだ……」

//カーブ曲がる音

正 「お、おい大佐!もう少し静かに運転しろ!」
勇 「やす田には昨夜行った」
雅 「お前また行ったの?馬鹿じゃない?茂とその母親に貢いでどうするのさ?」
勇 「付き合いというものがあってな。学生と違い軍人とは忙しいものだ」
雅 「その付き合いっていうのは芸者と遊ぶ事でしょ。だったら僕絶対に軍人になんかなりたくないね」
雅 「女なんか気持ち悪いし寒気するし最低だし!」
正 「お前なぁ……そんな事では結婚出来んだろうが」
雅 「別にしなくてもいいじゃん。あ、でもお前達はしたくても出来ないから僕がしなくちゃだめかもね。
   だって参拾超えて独身とかさ……ぷっ、もう貰い手ないんじゃないの?」
勇 「……近々貴様を殺さねばならんようだな!」

//カーブ曲がる音

雅 「なっ……し、仕返しのつもり!?はぁ……最低!」
勇 「黙って乗っていろ!」
正 「どーでもいいが……目的地はまだなのか?」

//止まる音
//車のドア開閉

//シーン:海岸
//波の音


勇 「着いたぞ。降りろ」
雅 「……ここ?あり得ないんだけど」
正 「大佐! 暑い時に暑い場所に来てどうする!?」
勇 「暑い時こそ暑い場所だと貴様がそう言ったではないか」
正 「それは飲み物の話だ!はぁ……で、どうするんだ?こんな所に居ては焼け死ぬぞ?」
雅 「ちょっと……何なのさあれ?」

//振り向く

正 「ん? あ、あいつら……!」

//シーン:海岸

はる 「わっ、凄いですね!」
博 「でしょ〜? むふふ……んで、あとはここに穴を空けて……」
茂 「器用だねぇ、砂でお城を造っちゃうんだから。……あ、これお城で合ってるんだよね?」
博 「違うよ!おれの新しい実験場なんだ!」
進 「これがかい? うーん、どう見ても俺には基地にしか見えないけど……」
守 「全体的にごちゃごちゃっとしているからではないでしょうか?ここをこうすれば……」
博 「あ……」
守 「博様の実験場に見えるかと思いますが……如何です?」
博 「ほんとだ! 見てよ、ほら!おれの実験場!かっこい〜!」
雅 「……馬鹿?」
博 「あ、雅!」

//壊す

博 「ぎゃー! 何で壊すの!?」
雅 「お前達ここで何やってるのさ!?しかもゴミまでいるし!!普通落ち込んで辞めると思うんだけど!」
はる 「ま、雅様……に、正様、勇様まで!?」
正 「おい、これはどういう事だ!?説明しろ!」
茂 「だからさ、夏って言えば海じゃない?んで、俺がみんなを誘って来たってわけ」
博 「元々おれが言い出したんだけどね。……はい、はる吉」
はる 「これをどうするのですか?」
博 「作り直すんだよ。……雅が壊しちゃったからね」
雅 「そんな事より何でゴミが一緒にいるのさ!?それとそいつ!……誰?」
守 「これはご挨拶が遅れました。御杜 守と申します」
進 「彼は有名な作家なんですよ。兄さん達はご存じないのですか?」
勇 「御杜? ふむ……知らんな。正は知っているか?」
正 「あー、確か進が持っている本にあったな。で、その作家がどうしてここに居る?」
守 「たまたま海岸を散歩していたのですが……流れでこうなりまして」
正 「流れで? ほう?」
勇 「ふん、作家など帝國の為にならん」
雅 「もー、いらいらするなぁ!何なのさ!? このっ、このっ!」

//さらに壊し続ける

博 「や、やめなよ!!自分じゃ作れなくて悔しいからって壊すことないじゃん。ねー、はる吉?」
はる 「え、あ……え、っと……」
雅 「お前さ、何でついてきてるの?使用人が海に来るとかあり得ないんだけど」
茂 「いいじゃないの。たまにはさ」
進 「雅も作るかい?何なら俺も手伝うけど?」
雅 「作るわけないじゃん」
守 「では皆さんで砂で何かを創作する……というのは如何ですか?」
茂 「お、いいねぇ。じゃあ俺も参加しよっかな〜」
はる 「雅様は何をお作りになるんですか?」
雅 「それ質問?」
はる 「あ、いえ……申し訳ありません」
雅 「はぁ……ま、いいけどさ。僕なら死体を作るね」
はる 「死体っ!?」
雅 「そ、死体。お前を死体にして、ここに埋めてやるよ。そして放置してやるんだ」
進 「こらこら、そんな物騒な事を言ったらだめだろ? はるさんは自分と雅の手伝いをして貰えますか?」
雅 「なっ、何でこいつが参加するんだよ!?」
博 「あれれのれ?雅、なんか顔が赤くない〜?」
茂 「おや本当だ。ははーん、さては……」

//一歩下がる

雅 「な、何……」
守 「ずばり!はるさんが好きなんですね?」
雅 「わーっ!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!幽霊になって死んじゃえ!!」

//走り去る

守 「…………」
茂 「や、幽霊ってもう死んでるし……」
博 「はる吉、あんな奴無視して作ろうよ。おれのも手伝って!」
はる 「か、畏まりました」

//ざくざく……

//ぼそっとささやく


守 「ふん……下らんな。この程度ではすぐに片付きそうだ」

//そっと近づく

勇 「……貴様、何者だ」
守 「へ? 何者って……ですからただの物書きですよ」
勇 「それにしてはただならぬ殺気。他は騙せてもこの俺は騙せんぞ?」
守 「ククク……成る程、さすが次男。よかろう。……今日が貴様達の命日だと思……」

//砂が勢いよくがかかる

守 「ぐあっ!?」
はる 「ご、ごめんなさい!申し訳御座いません!砂がかかっちゃいましたね……すぐに払いますから!」

//払う

守 「い、いいんですよ……あは、あははは……!ちっ……
  では……私はそろそろ失礼致します。いずれ……また」

//歩き去る

正 「……何かあったのか?」
勇 「大した事ではない。それはそうと……俺が壱位になったと聞いたが」
正 「何がだ?」
勇 「宮ノ杜家人気投票だ。先日開票があったはずだが……」
正 「……いよいよ大佐もおかしくなったか。今日は暑いからな」
勇 「き、貴様が知らぬだけだろうが!俺が優勝したのだ、貴様は参位だろうが!」
正 「だから一体何の話をしているんだ?」
勇 「優勝したはいいが、褒美も何もないし……いや、別に褒美を期待していた訳ではないのだが……」
正 「ふん……なにがよい案がある、だ。こんな暑い日に海だと?馬鹿馬鹿しい!」

//歩き去る

勇 「あの投票は一体何だったのだ?うーむ……」

//シーン:海岸
//波の音

//立って海を見ている勇


はる 「あの……勇様」
勇 「何だ」
はる 「暑いかと思い、日避けになる物をお持ちしたのですが……」
勇 「いらん。貴様が使え」
はる 「え?あ……はい、有り難うございます」

//海の向こうを見る

勇 「……知っているか。この海の向こうに何があるのか」
はる 「いえ……」
勇 「このずっと向こうには別の大陸がある。おそらくまだ他にも帝國の知らぬ国はあるだろう。もっと視野を広げるべきなのだ。
  だが……なかなか頑固な連中が居座っておってな。俺が宮ノ杜家当主となれば、この帝國を……」

//視線落とす

勇 「ふっ……貴様如きにこんな話をしても仕方あるまい」
はる 「勇様は勇様の理由がおありなんですね。当主になる為の理由が」
勇 「無論だ。貴様も理由があり使用人をしているのだろう?それと同じ事。程度はかなり違うがな」

//距離あり

茂 「おはるちゃーん、ちょっとおいでよー」
はる 「あ、はい! 今参ります!では勇様、失礼致します!」

//走り去る
//はるの背を見送る


勇 「……使用人、か」

//歩きながら

正 「大佐、そろそろ戻るぞ!暑すぎるぞ、ここは!」
勇 「……そうだな。しかし暇な連中であるな」
正 「それは我々も同じだろうが!」

//少し伸びをしつつ

勇 「だが、たまには何も考えずこうしているのもいいものだ。……さて、帰って飲むか」
正 「こ、こんな時間からか?まだ昼だぞ!?」
勇 「暑い時にはやはり冷酒がよい」
正 「あ、いや、それはそうだが……ふむ、冷酒か」

//歩いてくる

雅 「帰るの? 僕も帰る」
勇 「貴様にはまだ早かろう」
雅 「何がさ?」
正 「子供には関係ないという事だ」
雅 「それは聞き捨てならないね。お前達なんか歳食ってるだけじゃん。馬鹿なくせに」
勇 「ふん、好きなだけ言っていろ。一人で帰るんだな。行くぞ正」

//雅の肩を叩きつつ

正 「帰れるかな? 一人で。ま、せいぜい頑張って帰る事だ。はははは……!」

//二人歩き去る

雅 「ちょ、ちょっと待ちなよ!もうっ……殺されたいの!?ちょっと……!」

//走り去る

//END




 


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